未来のプロフェッショナルへの第一歩、ここから始まる!
【茨城高専の授業紹介】
第1回:国際創造工学基礎(キャリアデザイン基礎)
~本科1年生を対象に、学びを深める3つのアプローチ~
本校では、学生一人ひとりが自分に合った専門分野(主専攻とする系)を見つけ、将来につながるスキルを身につけられるよう特別な教育プログラムを提供しています。1年生の時点で「国際創造工学基礎」という科目を通じて、様々な専門分野を体験します。これが基盤となり、2年生進級時の「系選択」がより練られたものとなります。
このたび初めての試みとして、この科目と企業訪問をキャリア支援室と連携して組み合わせました。実際の企業を訪問し、現場のプロフェッショナルから学ぶことで、理論と実践のギャップを理解し、自身のキャリア形成を主体的に考える機会を提供しています。これが、未来のプロフェッショナルへの第一歩です。各クラスは異なる企業を訪れますが、今回は大手半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスに関する授業や企業訪問の様子をピックアップします。
企業訪問のフロー – 理論、対話、実践の3段階アプローチ
本校の「国際創造工学基礎」(キャリアデザイン基礎)
本校の「国際創造工学基礎」では、今年度から新たな試みとして、企業訪問に至るまでの3段階のアプローチを採用しました。これにより、学生は理論から実践まで一貫した学びを得ることができます。以下に、この3段階アプローチの詳細をご紹介します。
1. 事前授業と企業分析(理論):学生は「国際創造工学基礎」の授業で企業分析を行い、訪問先企業について基本的な知識を身につけます。学生は企業への質問をグループワークで考えて、事前に企業へ伝えます。
2. 企業講話(対話):実際の企業からスピーカーが招かれ、業界や企業の実情について教えてもらいます。学生はこの段階でも質問を行い、より深い企業理解を経験します。
3. 企業訪問(実践):学生は企業を訪れ、事前に学んだ知識と対話を元に現場を体験します。座学で学んだことを実際の現場で見ることにより、授業で学ぶ専門知識が社会でどのように活かされているのかを知り、学ぶことの意味を再認識します。
国際創造工学基礎とは? – 高専生の未来を形作る授業
本科目は1年生が2年生進級時の「系選択」に備え、多角的な視点から専門分野を理解し、自分に合った分野を見つけるためのものです。
・授業の特長・多様な授業: 各専門分野(系)の教員が担当し、多角的な視点から学べます。
・キャリア支援: キャリア支援室が「自律的なキャリア形成」を目的とした授業を展開し、将来に役立つスキルや知識・ビジネスマナーを学べます。
・革新的な取り組み:初めての試みとして、この科目と企業訪問を連動させることで実践的な知識と経験を学べます。
このプログラムを通じて、学生は自分に合った専門分野を発見し、質問力やコミュニケーション能力の向上を目指します。これにより、2年生進級時の「系選択」が自律的なものとなります。
【受入先企業コメント】副工場長からの一言 – 若き才能とともに未来を築く
現在、半導体は、我々の暮らしに欠かせない存在であり、さまざまな分野の機器制御など、とても重要な役割を果たしています。半導体業界の私たちルネサスは、縁あって茨城高専の皆さんと連携し未来ある若き才能を育むための活動をすることになりました。今回の「国際創造工学基礎」プログラムである企業講話・企業訪問は、その象徴的な一例であるかと思います。
私たちも、皆さんの新しい視点や発想に触れ、組織全体が活性化することを実感しました。そして、特に印象的だったのは、学生の皆さんが積極的に質問をし、真剣に各プロセスを学ぼうとする姿勢です。これには、皆さんが本業界に対し真剣な関心があり、将来への準備をしたいという証であるのだと強く感じたところです。
今後この教育プログラムの活動を、”広げる”・”続ける”ことにより、多くの学生が本業界を理解し、個々のキャリアを形成する一助となることを期待します。いや、そうなるように活動を共にしていきましょう。
キャリア支援担当からのメッセージ – あなたの未来、私たちがサポート
キャリア支援室として、私たちは学生が「なぜ学び、どう生きるのか?」をテーマとし、自分自身のキャリアをどのように築いていくか、その第一歩をしっかりと踏み出せるよう全力でサポートしています。この「国際創造工学基礎」の授業と企業訪問を連動して実施することは、その一環として非常に重要なプログラムと位置付けています。
学生たちは授業で学んだ理論を企業訪問で実践に活かし、さらにはその場で即座にフィードバックを受けることで、社会で活躍するプロフェッショナルと向き合うことができます。これは、単に教科書で学ぶだけでは得られない、大変貴重な体験です。
特に新たな試みとして、ルネサスエレクトロニクスでは社員食堂での昼食体験を実施していただきました。これによって、学生たちは企業文化をより身近に感じ、「社会で働くイメージ」の広がりをもつことに繋がりました。
私たちはこのプログラムを通じて、学生が「自律的なキャリア形成」の意識を醸成し、自分自身のキャリアに前向きな一歩を踏み出せるよう取り組んでいます。今後も、より多くの学生が自分の未来を見つけられるよう、一層のサポートを提供していきたいと考えています。
参加した学生の感想 – プロフェッショナルと過ごした時間
研修旅行を通して、将来のために今勉強する大切さを実感しました。見学で用いられている技術や仕組みについて、働いている方から「中学の理科で習うことを応用している」と説明をいただきました。
これまで数学や理科の勉強で「何のために勉強しているのだろう。」「将来の役に立つのだろうか?」と考えているだけでしたが、これからはどのような仕事でどのように使われていて、なぜその分野を学ぶ必要があるのか、と自分のこととして考えながら勉強していこうと思いました。
また、これまで半導体産業は自分が興味を持っている分野とは関係ないと思い込んでいましたが、説明を聞いて、興味を持っている分野を含む様々な分野の技術が使われていることが分かりました。まだ、やりたい仕事が細かく決まっていない分、受け身にならず自ら自分が興味を持っている分野とそれが活かされる仕事について調べていきたいと思いました。
最後に、働いている方のお話や姿から、誇りをもって仕事をする素晴らしさを感じました。 これからも様々な分野の知識を深め、誇りをもって働くことができるよう、より一層勉強に励みたいと思います。
事前に行ったキャリア講話では、動画や話だけで実際にどんな仕事をしたり、どんなものを扱っているのかイメージがつきにくかったが、今回研修旅行に行き、ウェハの実物を見たり、ちょっとした作業を体験してみたり、クリーンルームを見たりしてとても興味をそそられた。
中でも、クリーンルームには圧倒された。とても広く天井まで全て利用し、かつ、とても美しかった。空調管理や災害の対策・点検まで行っていて本当にすごかった。今まで経験してきた社会科見学や工場見学の中で一番興奮したかもしれない。
また、社員の方々もとても親しみやすかった。質問すれば丁寧に答えてくれ、人間性もとても良く、話していて楽しかった。
社食も玉子のコロッケみたいなのは少し微妙だったが、全体的にバランス良く、ちょうど良い満腹感を得られた。マイコンの操作も試行錯誤する楽しさを体感できた。
まだまだ分からないこと、知りたいことはたくさんあるが、今回の研修旅行を通して将来の自分につながるインスピレーションを少しでも増やせたと思う。今後も意欲的に学び「自分」を作っていきたい。
HPやWebなどで見ることと、実際に工場を見学することで得られるものは大きく違った。社員の方にその場で質問ができる環境で見学することで、より理解を深められたと思う。
また、他の人が思った疑問で、自分では思いつかなかったことも多かった。基本に立ち返って、さまざまな角度から考えることが大切だと思った。
体験学習もあり、クリーンルームで働く方々の大変さも少しは実感できた。工場の雰囲気や社食の様子など、半導体以外の部分も見られてよかった。
まだ知識的に乏しい部分があるので、学びに集中できる高専での生活を大切にしたい。また、「社会で働くこと」について、まだまだ分からないことや不安もあるので、これをきっかけに将来について考えていきたい。
担任からのメッセージ – 学生一人ひとりの成長を目の当たりに
私たち担任が今回の企業訪問を通じて最も大切にしたのは、学生一人ひとりが自分自身の将来について考え、専門分野の理解を深めることです。企業訪問は、学生が実際の業界で何が求められているのか、どのようなスキルが必要なのかを理解する貴重な機会です。
今回の企業訪問で、担任として印象的だったのは、企業訪問時に学生たちが積極的に質問をしていたことです。質問は単に知識を得る手段ではなく、相手に敬意を表し、より深い理解を得る手段です。興味をもって積極的に質問する姿は立派でした。
国際創造工学基礎と連携した企業訪問は初めての試みでしたが、学生たちの良い反応を見ることができて、非常に有意義だったと感じています。これからも、学生たちが自分の将来を考え、確固たる一歩を踏み出せるようサポートしていきたいと思います。
本校の「国際創造工学基礎」と企業訪問の連携プログラムは、学生が自分自身の未来について深く考え、実践的なスキルと知識を獲得するための貴重な第一歩です。このプログラムを通じて、学生は理論だけでなく、実践においても多くを学びます。それは単なる教育プログラム以上のもの、未来の自分を形作る重要な経験です。
本校では引き続き、このような革新的な教育プログラムを通じて、学生が多角的な視点で専門分野を理解し、自分に合った道を見つけられるよう全力でサポートしていきます。
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