専共通 | 現代数学Ⅰ | 1年・前期・選択・学修2単位 | |
担当教員 | 櫻井 みぎ和 | 連絡先 | |
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講義の概要 | 現代数学Ⅰという授業タイトルですが、そんなに仰々しいものではありません。内容は、高専本科1~3年生の間で学んできた「解析」および本科4,5年生の応用数学の授業で一度学んだ「複素解析」について細かな点の補足です。授業では、複素関数の実部、虚部に当たる実関数について、その偏導関数の連続性を仮定した説明を行ってゆきます。 | ||
到達目標 | 最終目標は、「正則な関数⇔ベキ級数で表せる関数」および「ベキ級数は収束円内で正則関数を表し、項別微分、項別積分が可能でその収束半径は変わらない。」ことの証明を通した理解を目指します。 |
日程 | 授業項目 | 理解すべき内容 | 理解度 (1~4) | |
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前期 | 第1週 | イントロダクション | 本科で学んだ複素解析の復習(複素平面と極形式、ド・モアブルの定理と複素数のn乗根) | |
第2週 | 命題と推論 | 命題、否定命題の作り方、命題の同値性、推論の方法、背理法、命題関数、全称命題,存在命題とその順序 他 | ||
第3週 | 集合と写像 | 本科で学んだ集合の復習、集合の像、逆像、全射、単射、全単射 他 | ||
第4週 | 実数の基本性質,実数列の収束 | 実数の連続性、実数列の収束、ε-N 論法、 収束する数列⇔コーシー列 |
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第5週 | 連続関数の基本性質 | 連続関数の基本性質(閉区間における最大値・最小値の定理)、ε-δ 論法、一様連続性 | ||
第6週 | リーマン和の基本定理 | 閉区間で連続な関数の積分可能性 | ||
第7週 | 複素数の収束と極限 | 複素数の収束と極限 | ||
第8週 | 複素関数と正則性 | 複素関数の微分、正則性とコーシー・リーマンの方程式 | ||
第9週 | 正則性と複素積分(1) | 複素積分とその性質、コーシーの積分定理 | ||
第10週 | 正則性と複素積分(2) | 正則関数の積分表示、グルサーの定理、モレラの定理 | ||
第11週 | 級数1 | 絶対収束、コーシーの判定法、ベキ級数、収束半径とその求め方の練習 | ||
第12週 | 級数2 | ベキ級数は収束円内で正則関数を表すこと、ベキ級数は項別微分、項別積分が可能でその収束半径は変わらないこと | ||
第13週 | 正則関数とベキ級数展開 | 正則な関数⇔ベキ級数で表せる関数 | ||
第14週 | 複素積分と特異点 | 複素積分と特異点 | ||
第15週 | (期末試験) | |||
第16週 | 総復習 | 総復習 | ||
学習教育目標 | Aに対応 | 達成項目 | 専攻科イ)に対応 | JABEE 認定基準 |
(A-1),(c)に対応 |
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教科書・参考書 | 教科書:基本的には黒板となりますが、資料も適宜配布します。 参考書: 瀬山 士郎 「無限と連続の数学―微分積分学の基礎理論案内」(東京図書) 田島 一郎 「解析入門」(岩波全書) 原 惟行,松永 秀章 「イプシロン・デルタ論法 完全攻略」(共立出版) 柴田 敏男 「復刊 数学序論 -集合と実数-」 (共立出版) 田代 嘉宏 「複素関数要論 (応用数学要論シリーズ 4) 」(森北出版) 遠山 啓 「関数論初歩(日評数学選書) 」(日本評論社) 神保 道夫 「複素関数入門 (現代数学への入門)」 (岩波書店) | ||||
評価方法及び 合格基準 |
成績の評価は、定期試験の成績70%、レポートの成績30%で行い、合計の成績が60点以上の者を合格とする。 | ||||
学生へのメッセージ、 予習・復習について |
本科で学んだ、数学A、数学B、解析学、代数・幾何、応用数学における学習内容を既知とします。授業ノートの内容を見直し、授業に関係する演習問題を解いておくこと。参考書の中には残念ながら絶版になっているものもありますが、茨城高専の図書館で借りて読むことができます。この授業がいつか何かで、少しでも皆さんのお役に立てることを祈って。 |