物質 精密合成化学 5年・通年・選択・学修2単位
担当教員 岩浪 克之 連絡先 
講義の概要 精密合成化学とは、目的とする標的化合物があり、その構造を正確に組み立てる際に必要な技術ならびにその基礎となる化学のことである。これまでの副生成物をともなう有機合成から、目的物を選択的かつ効率的に合成する考え方に世界の動向は転換してきている。ここでは立体化学や反応機構も考慮に入れながら、精密合成について多面的に学ぶ。
到達目標 講義や演習を通じて、反応の特徴を深く理解し、やや複雑な有機化合物の合成に応用できる能力や、有機化学を総合的に把握できるようになることを目標とする。
1.目的とする化合物を効率良く合成することの大切さが理解できるようになる。
2.精密合成の基本原理である選択合成の体系が理解できる。
3.逆合成の視点から結合切断部位が理解できるようになる。
日程授業項目理解すべき内容 理解度
(1~4)
前期 第1週 1.逆合成と保護基
(1)逆合成解析
官能基変換や結合切断による逆合成  
第2週 (2)保護基 官能基の保護と脱保護  
第3週 2.有機構造変換
(1)求核試薬と求電子試薬
求核試薬と求電子試薬の種類と特徴  
第4週 (2)酸化と還元 酸化剤と還元剤の種類と特徴  
第5週 3.官能基を1個有する標的分子の合成
(1)アルコール類の合成
官能基変換によるアルコールの合成、Grignard反応  
第6週 (2)ハロゲン化物の合成 アルコールのハロゲン化、位置・立体選択的ハロゲン化  
第7週 (中間試験)  
第8週 (3)エーテル類の合成 Williamsonエーテル合成、エポキシドの合成法  
第9週 (4)アミン類の合成 Gabriel合成、ケトンの還元的アミノ化  
第10週 (5)アルケン類の合成 Zaitsev則、Hofmann則、Wittig反応  
第11週 (6)アルカン類の合成 官能基変換によるアルカンの合成、金属カップリング反応  
第12週 (7)アルデヒド、ケトン類の合成 官能基変換、アシル置換による合成、α位のアルキル化  
第13週 (8)カルボン酸類の合成 官能基変換、アシル置換による合成  
第14週 (9)カルボン酸誘導体の合成 酸塩化物、酸無水物、エステル、アミド、ニトリルの合成法  
第15週 (期末試験)  
第16週 総復習  
後期 第1週 4.官能基を2個有する標的分子の合成
(1)エノラートを用いる反応①
交差アルドール反応、Mannich反応  
第2週 (2)エノラートを用いる反応② 交差Claisen縮合、Michael反応  
第3週 (3)極性変換 シアノヒドリン、Strecker反応、1.3-ジチアン  
第4週 5.芳香族分子の合成
(1)芳香族求電子置換反応
求電子試薬の生成法、置換基効果  
第5週 (2)Sandmeyer反応 ジアゾニウム塩の生成と利用法  
第6週 (3)芳香族求核置換反応 芳香族求核置換反応の反応機構と反応例  
第7週 (中間試験)  
第8週 6.環を含む化合物の合成
(1)三、四員環、五員環化合物の合成
アルケンとカルベンの反応、ラジカル環化反応  
第9週 (2)六員環化合物の合成 Diels-Alder反応の位置選択性、立体化学  
第10週 7.立体化学の予測と制御
(1)立体化学の予測
ラセミ化と立体反転  
第11週 (2)付加と脱離 sin付加、anti付加、sin脱離、anti脱離  
第12週 (3)カルボニル基への付加 Felkin-Anhモデル  
第13週 (4)エノラートへの付加 Zimmerman-Traxlerモデル  
第14週 (5)エナンチオ選択性 プロキラル炭素、Sharpless不斉エポキシ化  
第15週 (期末試験)  
第16週 総復習  
学習教育目標 Aに対応 達成項目本科イ)に対応 JABEE
認定基準
(A-2),(d)-(1)に対応
教科書・参考書 教科書:L.S.Starkey「基礎から学ぶ有機合成」(東京化学同人)
参考書:檜山、大嶌「有機合成化学」(東京化学同人)
評価方法及び
合格基準
成績の評価は、定期試験の成績で行い、平均の成績が60点以上の者を合格とする。
学生へのメッセージ、
予習・復習について
3、4年次の有機化学が基礎となっているので、「有機化学Ⅰ・Ⅱ」の内容を事前に復習しておくことが望ましい。
毎回の授業後には、教科書の章末問題を解いて復習すること。また、次回予定の内容に関して、教科書を読むなどして予習すること。