ACコース | 触媒化学特論 | 2年・後期・選択・学修2単位 | |
担当教員 | 山形 信嗣 | 連絡先 | |
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講義の概要 | 触媒は,現在、化学工場内だけでなく、環境保全のためや各種民生機器等に使用され、きわめて重要である。講義では,触媒が現在どのように使用されているか、そのような触媒の働きが化学物質のどのような性質によって発現するのか、また、より良い触媒性能を引き出すにはどのような評価法が用いられているかについて講義する。 | ||
到達目標 | 1.工業用触媒あるいはエネルギーや環境浄化のための触媒例を学ぶと共に、触媒の重要性を理解すること。 2.そのような触媒作用がどのようなメカニズムによって発言するのかについて、物質の物理的あるいは化学的性質を基に理解を深めること。 |
日程 | 授業項目 | 理解すべき内容 | 理解度 (1~4) | |
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後期 | 第1週 | 触媒化学の概要 | 講義概要、触媒の定義、触媒の三大機能(活性・選択性・寿命)触媒発展の歴史 | |
第2週 | 化学工業における触媒(1) | 硝酸・硫酸・メタノール・合成ガス・ワッカー法・石油分解・水蒸気改質等における触媒例の紹介 | ||
第3週 | 化学工業における触媒(2) | アンモニア合成やエチレンのZiegler-Natta重合における触媒の歴史的役割および現行技術との比較 | ||
第4週 | エネルギー関連触媒 | 燃料の製造と触媒 | ||
第5週 | 環境触媒 | NOXの低減技術、自動車排ガス浄化 | ||
第6週 | 吸着(1) | 吸着現象(物理吸着と化学吸着) | ||
第7週 | (中間試験) | |||
第8週 | 吸着(2) | 吸着理論(Langmuirの単分子層吸着理論、BETの多分子層吸着理論) | ||
第9週 | 不均一系触媒反応の速度 | Langmuir-Hinshelwood機構とRideal-Eley機構、それらの反応速度式 | ||
第10週 | 固体触媒のキャラクタリゼーション(1) | 吸着を利用するキャラクタリゼーション(細孔分布、金属の露出表面積、表面酸性・塩基性) | ||
第11週 | 固体触媒のキャラクタリゼーション(2) | 触媒の表面とバルクの分光学的キャラクタリゼーション(XRD、SEM、XPS、STM等) | ||
第12週 | 固体触媒のキャラクタリゼーション(3) | 表面吸着種の状態(昇温脱離法、IR法)、同位体交換反応 | ||
第13週 | 触媒研究におけるトピックス(1) | ゼオライト触媒(ZSM-5、SAPO-34、FSM-16、MCM-41など) | ||
第14週 | 触媒研究におけるトピックス(2) | 水分解のための光触媒、最近のノーベル賞を受賞した触媒 | ||
第15週 | (期末試験) | |||
第16週 | 総復習 | |||
履修上の注意 | |||||
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学習教育目標 | Bに対応 | 達成項目 | 専攻科ロ),ハ)に対応 | JABEE 認定基準 |
(B-1,2),(d)-(1),(d)-(2)-a)に対応 |
教科書・参考書 | 参考書:菊地,瀬川,多田,射水,服部共著「新しい触媒化学」第2版(三共出版) 御園生誠、斉藤泰和共著「触媒化学」(丸善) 触媒学会編「トコトンやさしい触媒の本」(日刊工業新聞社) | ||||
評価方法及び合格基準 | 成績の評価は、中間試験(与えられた課題に対して期限までにレポートを提出し、それにについて発表を行うこと)の成績40%、および期末試験の成績60%で行い、合計の成績が60点以上の者を合格とする。 | ||||
学生への メッセージ |
P.T.AnastasとJ.C.Warnerが提唱した「グリーン・ケミスリー」のための12ヶ条の中に、「できる限り触媒反応を目指す」とあり、21世紀の化学においても、いかに触媒が重要かが分かる。講義を通じて、古くからある触媒、新しく発見された触媒の魅力をつかんで頂けたら幸いである。 毎回の授業後、ノートや配布したプリントの内容を見直して復習すること。また、授業時に示す次回予定の内容に関して、参考書を読むなどして予習しておくこと。 |