高専だより
令和4年3月掲載号
学校長挨拶
茨城高専校長の米倉達広です。昨年も一昨年に引き続き新型コロナに悩まされた1年でした。学生の皆さん、保護者そして教職員にも大変ご迷惑をおかけしていること、改めてお詫びいたします。いまなお先が見えないコロナ禍ですが、ワクチンや特効薬の開発が進んでいます。もう少しの辛抱をお願いします。また、学生の皆さんにはこの不自由な環境での勉学、研究や課外活動等で活躍される姿に心から感謝いたします。
そうしたコロナ禍にあっても実施できた学生活動を一つご紹介します。それは学生会執行部によるオンライン茨香祭です。例年秋期にキャンパスを公開して行われていた文化祭です。昨年12月にこれを完全にオンラインで実施しました。オンラインでの開催は初めての試みです。そこには何と600人以上の学生が参加し、ゲーム大会や学生討論会など、様々なイベントを行いました。我々中高年からは想像し得ないような姿でした。学生達は“ネット開催”という新たな生活様式にうまく溶け込み、実に生き生きと楽しい一日を過ごしていました。若者のもつ柔軟さに改めて敬服した次第です。
さて、近年の学生達は様々なストレスを抱えて生活していますが、今日のようなコロナ禍における課題としては、メンタルヘルス等の支障が悪化してしまい、就学モチベーション低下に影響してしまうことが知られています。本校ではこれに対応するため、クラス担任教員や学生健康センターと、ひたちなか市福祉部との連携機能の構築に着手しました。様々な課題を抱える学生や、彼らを指導する側のクラス担任を支援してくれるネットワーク体制を構築するのがこの連携の目的です。ご承知おきください。
最後になりますが、昨年の高専だよりで「広報強化とセットで進めるべき改革は、キャリア教育の強化です。」と申し上げました。あれから1年をかけていよいよ実現しました。卒業後のキャリア形成をお手伝いするための組織:キャリア支援室が本年4月に設置されます。そこでは、クラス担任の学生指導を補佐するカタチで、キャリア教育やキャリア支援のための相談体制を創ります。学生ならびに、保護者の皆さんはぜひご承知おきください。
このように、本校では入学から卒業まで一貫して、本校学生の健やかな成長、そして進路の道筋を築き上げる環境を整えていきます。
新任の挨拶
一般教養部 竹井 優美子
着任にあたって
令和3年4月より一般教養部の助教として着任した竹井優美子と申します。数学の授業を担当しており、水泳部の顧問もしています。
数学は自然科学の基礎であり、工学を学ぶ際にも数学の素養は必要不可欠です。さらに、技術者や研究者には知識だけでなく、コミュニケーション能力も求められます。そのため、グループワークを取り入れるなど、数学の素養だけではなく、能動的に考え他者と情報共有する能力なども共に身につけられるような授業を心掛けています。なぜと自問しながらじっくり考え、自分が分かっていることと分からないことを判別し、周りと相談しながら問題解決するという力を、数学を学ぶ過程で身につけてほしいと考えています。
では、私の研究についてもご紹介したいと思います。私の専門分野は完全WKB解析です。微分方程式は様々な自然現象を記述する際に用いられており、完全WKB解析はそういった微分方程式の解析方法の一つです。私は特に、数理物理に由来する位相的漸化式と完全WKB解析の関係性に興味があり、その関係性について研究しています。
私自身も学生の皆さんと一緒に成長していけるように頑張っていきます。どうぞよろしくお願いいたします。
一般教養部 石井 裕太
ぎりぎり新任な教員の挨拶
今年度の4月に数学科教員として着任しました石井裕太と申します。新任挨拶ということですが、年が変わった1月に書いていますので新任と呼べるか微妙です(笑)。
3月までは大学院で研究者の卵として過ごしていましたが、4月より教員、そして独立した研究者の立場となって身の引き締まる思いです。着任当初、学生の皆さんと上手くコミュニケーションが取れるか心配でしたが、親しみを持って接してくださり、ときには助けられもして、皆さんにとても感謝しております。
中学・高校では柔道の経験があるため、柔道部の顧問を担当しており、練習に参加することもあります。
研究内容については普段あまり話しませんが、普段どのように研究しているかなどを話すことで、物事に一途に取り組む姿を見せるようにしています。
教員としてまだまだ未熟ですが、皆さんの茨城高専での成長をサポートできるように頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
専門共通教育部 神野河 彩子
新任の挨拶
2021年4月に専門共通教育部に着任いたしました神野河彩子と申します。専門分野は理系学生のキャリア教育と社会福祉に関する分野です。本校のキャリア教育専門教員として、低学年から高学年までの積み上げ型キャリア教育導入に邁進しております。
高専生の就職活動をデータでみると就職を希望する学生の就職率は100%に近い数値となっています。進学は国立大学や大学院を中心に、約半数の学生が編入・進学をしている状況です。
一方で、就職後数年経過した卒業生からの転職や再就職支援依頼があることも現実であり、私が本校に着任しこれまでの期間で、数名の卒業生の支援を実施しました。
雇用の流動化やテレワーク導入等による多様な働き方、AIやDXを含む技術者に求められるマルチタスクな業務処理能力など、労働市場に求められる人材像は時代と共に急激に変化しています。
これからの新卒の就職は、「就職率」という数値だけでは計ることはできず、学生個人の特性と企業カルチャーのマッチング度という質的な視点が重要であると考えています。
学生一人ひとりが自分の特徴を存分に活かして自分の未来に向き合い、着実に成長していけるようなキャリア教育を実施していきたいと考えておりますので、学生の皆さん、そして関係者の方々、どうぞよろしくお願いいたします。
専門共通教育部 佐藤 誠
新任の挨拶
茨城高専に嘱託教授として勤め1年が経ちました。一部のクラスにしか接点がないので知らない方がほとんどだと思います。前任は津山高専で、16年物理を教えてきました。この間、学生と一緒に身近な物理現象の謎解きを楽しんできました。
計画性なく雑多なことを対象に謎解きしてきましたが、「色」はひとつの主なテーマになっています。ご存じのように色は可視域の光の波長をひとが識別するときの感覚です。色紙や服の色などは吸収されずに散乱された光を色覚が捉えて感じる色で、理解しやすいですが、空の青色や虹の色などはもう少し面倒です。前者は気体分子によるレーリー散乱ですし、後者は屈折率の波長分散が原因だということは良く知られています。でも、もう少し踏み込むと、空の青色が偏光していることが分りますし、虹が特定の角度で強く観察される理由が理解されます。この辺りを突き詰めると興味深い知見が得られ、1次の主虹の外に現れる色の順番が逆転した2次の副虹だけでなく、工夫により6次の虹まで観察することができます。
この次数は雨粒内での光線の反射回数です。過剰虹という主虹の内側に現れる周期の細かな虹が観察されることがあります。これは干渉が主な理由で発生します。 ちなみに虹は反射のため偏光しています。
セロハンテープの複屈折
透明なプラスチック容器や窓ガラスが淡く色付いて見えることを不思議に思ったことはありませんか。これは青空が偏光していることと関係します。偏光した青空からの光がプラ容器の裏面で反射する際に、プラ容器の複屈折のため特定の波長の反射強度が弱まり、そのため色付いて見えるのです。2枚の偏光板の間に多層に貼ったセロテープを挟んで透過光を観察すると色付いて見えるのと同じです。
この数年取り組んでいるのが、蜘蛛の糸が色付いて見える理由です。当初は周期構造による干渉かと思ったのですが、どうも違うようで、現在は、表面反射光と内部反射光の干渉が原因ではないかと解析を進めています。似たような現象に、車のフロントガラスの細かな傷が太陽光に照らされたときに見える色があります。おそらく同じ干渉現象だと推測しています。
興味のある方がいらしたらぜひ一緒に謎解きを楽しみませんか。テーマの持ち込みも大歓迎です。
機械・制御系 柏昂 希
将来の夢と目標
みなさま初めまして。4月より機械・制御系に赴任した柏昂希です。私の専門は燃焼工学で、火炎の構造や火炎から放出される燃焼生成物について研究しています。茨城高専に赴任する以前には一般企業にてエンジンの設計開発業務に携わっていました。
いきなりですが、みなさんには将来の夢や目標がありますか?すでに夢や目標に向かって進んでいるという人もいるかもしれませんが、まだ夢や目標がはっきりせずに日々を過ごしている人もいると思います。私も学生時代に夢や目標がはっきりしていなかった人の一人でした。高校生の時「国語や社会よりも数学や理科の方が得意」という単純な理由で理系の大学に進学し、車が好きだったのでなんとなく機械工学科を選択したほどです。
十代で将来の夢や目標を決め、それを実現するために何が必要なのかを考え、どんな進路がよいのかを明確にするのはとても難しいと思います。それは、十代の学生が普段の生活の中で見ている世界は、社会の中の限られた狭い範囲でしかなく、その中で答えを探そうとしているからです。私は学生時代に様々な先生や先輩、後輩達と出会い交流したことで、自分の見ている世界はとても狭い範囲なのだと知りました。そして「自分には無理だろう」と思っていたようなことも努力次第で実現可能であることを知り、自分なりの夢を見つけました。
茨城高専には色々な分野の先生がおり、それぞれ様々な経験をされています。学生のみなさんには、多くの先生方と交流して視野を広くして欲しいと思います。夢や目標は些細なキッカケから見つかることもあります。「自分には無理だろう」と思っていることも、高専で学んだ知識をうまく活かすことで実現できるかもしれません。研究や勉強、就職活動、仕事のことなど、何でも気兼ねなく相談してもらえればと思います。
化学・生物・環境系 入澤 啓太
はじめまして
ご縁があり、昨年10月から茨城高専の教員に着任しました入澤啓太です。東京都目黒区で育ち、大学・大学院で地球惑星科学を専攻した後、茨城に移り、国研で研究開発業務に従事しておりました。その間、英国留学を1年間させて頂きました。国研では,研究漬けだったとは言い切れず、それに付随する様々な業務を行っていたように思います。今回の着任で、ルールや環境の違いに驚くと同時に、学校の教育や研究を懐かしく感じます。環境がかなり異なり、ゼロからのスタートのつもりで励みたいと思います。
大学・大学院時代は、天然試料中のタングステン同位体組成の分析手法の開発を行いました。国研では、主にセメントの合成や特性評価の研究開発に取り組みました。研究において、一つの分野だけをしていた人は稀であるように思います。私の場合は、天然から人工の材料へ、手法の開発から合成・評価へと変わってきました。社会はとても速いスピードで変化しているように感じますが、研究の領域も社会情勢やそのニーズと共に変化していくものと思います。今後、社会に貢献できるよう、ニーズとシーズを見据え、吸着剤の開発等の研究も含めて、発展させていきたいと思います。
学生の皆さんには、夢や目標を持ち、学生のうちに全力で取り組んだと言い切れるものを何か一つ作ってほしいと思います。多くの事に全力で取り組むことはなかなか出来ません。計画、実行、確認、評価、改善、連絡調整等、しっかりと丁寧にする沢山の努力が必要です。現状把握の認識の甘さ、トラブルや不測の事態がありますから、思っていたようにはなかなか事が進まないものです。それでも、夢や目標を持つことで、その努力が成果に結びつかずとも、必ず成長に繋がります。私自身も、学生の皆さんと共に成長していきたいと思います。よろしくお願いします。
退職者挨拶
専門共通教育部 ゴーシュ シュワパンクメル
茨城高専での日々
茨城高専に来て5年間の月日が経ちました。この度、退職の挨拶をさせていただくことになりました。平成29年に茨城高専に着任した時、私は高専教育のことをなにも知らなかったです。だからたくさんの不安をかかえていました。この学校でのグローバル教育の役割に影響を与えるために、皆様方からのたくさんのサポート、励まし、指導を頂きました。皆様方に心から感謝しております。
茨城高専は素晴らしい学校です、ここで教員として、5年間働くことができまして大変嬉しく思います。人生の一つの素晴らしい経験になります。過去を振り返ってみると、この5年間を2つの部分に分けてみたいと思います。初めの3年間(COVID-19前)は「通常の授業、学生の海外研修、海外の教育機関からの学生の研修、Global Office前のラウンジで学生と一緒に”Play and Learn English”等、様々な活動」ができきたことがとても効果的でした。学生の皆さんが授業を一生懸命聞いてくれて、質問をしてくれて、私の質問に答えてくれて、元気な声で一緒に英語を読んでくれて、私が書いた間違いの漢字を見て笑ってくれて、たくさん素晴らしい思い出を作ってくれました。お蔭様で毎日を楽しく過ごせました。こころから感謝しております。
最後の2年間は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため遠隔授業を含めて様々な制限がありまして、皆様の顔も見えず、通常の活動を行うことが出来なかったことがまことに残念でした。しかし、学校関係の皆様は無事でよかったです。
人類の長い歴史の中で、海外から来て、あるわずかな時間を茨城高等専で皆様方とともに活躍できたのは本当に奇跡です。ここで経験したことを大切にしていきたいと思います。私の間違い、行動、あるいは言葉であなたを傷つけてしまったことがありましたら心からお詫び申し上げます。皆様のこれからのご活躍を心からお祈り申し上げます。本当に5年間お世話になりました。
機械・制御系 飛田 敏光
茨城高専での20年を振り返って
茨城高専に赴任してきたのは、20年前になります。前職では、19年間の間に研究者、設計技術者、最後は製品企画を担当しておりました。赴任の挨拶をする際、定年まで勤めれば、前職より長くなるのだなと考えたことを思い出します。
赴任の挨拶の際には、前職で経験したことをもとに自分が学生の時受けたかった授業ができればと考え、また、卒業までに、企業で部下として、同僚として、場合によっては上司として一緒に仕事をしたいと思うような人材を育てられたらと考えておりました。担当した各授業も同様の考えで進めましたが、特に、当時の学科長や、学科内の他先生方のご協力を得て電子制御工学科の5年生の実験を1年間かけて行うPBL実験にして、これを実現しようと考えました。
企業の製品開発を模擬したもので、その成果については色々な意見もあると思いますが、卒業生が来校した際には「会社の仕事に似ていて、入社後に大変役に立ちました」などの良い評価を聞かせていただきました。
勉強した知識を使ってもの作りをするということは、卒業研究でも行いますが、技術者として製品開発の流れを大まかに体験させるということは良い体験になったのではないかと思います。アンケートによれば、これらを通して企画から完成までのスケジュールの立て方、時間の使い方や、グループで仕事をすることに対しての難しさなども体験できたとの意見があり、こちらの意図していた以上に良い体験をしたと評価する学生もいて、私としても望外の喜びでした。
また、クラス担任として3つのクラスを担当させていただき、学生と一緒に体験した体育大会や、研修旅行は、大変楽しい思い出となっております。自分が担当したクラスの卒業生の活躍を伺うことも楽しみの一つです。3つめのクラスは、昨年3年のみの担任で、コロナ渦で体育祭などの体験を共にすることはできませんでしたが、元気に登校されている姿を見ながら、将来をになう技術者として活躍していただくことを期待しております。
最後に、これまでご協力いただいてきた学生、保護者、事務関係者、同僚の先生方に感謝の意を表して終わりにいたします。ありがとうございました。
情報系 小飼 敬
大変お世話になりました
2004年に本校に赴任し約18年間勤め、これまで多くの事を経験させて頂きました。着任後間もなく副情報処理センター長として、校内ネットワークやサーバ設備などに触れる機会があり、現在では当たり前に使える無線LANが全教室に初めて設置され、本校の情報インフラ設備が大きく変わる瞬間に立ち会うことができました。(当時は、それまで授業でネットワークを使いたい場合は、LANケーブルを持参して天井付近の情報コンセントに繋ぐために毎回脚立を持って行っていました)2015~2016年度は、学生主事補として、関東信越地区文化発表会、芸術鑑賞会など、学生皆さんの学校生活がより豊かなになるよう支援をし、2017~2018年度で担当した教務主事補では、国際創造工学科への改組の過渡期と重なったこともあり本校のカリキュラムなど高専の教育についてより深く知ることができました。このような校務を通じて高専は常に時代とともに変化し続けていることを実感しました。
私の専門分野はソフトウェア工学であり、これまで担当してきた授業・実験も主にソフトウェアに関わる内容でした。学生が作ったプログラムやソフトウェア設計、PBLや卒業研究での学生のアイデアなどは、私の想定を越えるものもあり、学生に教える立場であるはずの私が学ばせてもらう事も多々ありました。このような新しい学びや発見がある度に、以後の授業に取り入れて、教え方を工夫することで、より多くの学生に深く理解して興味をもってもらえるようにすることは、大変楽しく、やり甲斐を感じました。
2018~2020年度の3年間では、電子情報工学科としては最後となるクラスをそれまで担任未経験の私が担当しました。担任経験のある周囲の先生方からアドバイスをいただき、時にはクラスの学生にも助けられながら務めきることができました。5学年となる2020年度はコロナ禍での進学・就職活動となり、編入学試験や採用日程のほとんどが延期、会社説明や面接などは急きょオンラインへと変更、学生への進路指導もオンラインとなり、不安や心配を抱える学生が多くいました。そのように突然強いられた変化の中でも、学生達は自分の将来にしっかりと向き合って進路を決めていき、無事卒業の日を向かえることができ、その姿に私自身勇気づけられました。
このような様々な変化の中での経験は、今後の私の人生の中できっと役に立つことと思います。皆さんの身の回りでは、これから先も様々な変化があると思いますが、これらを楽しみながら新しい事に挑戦し続けて頂ければと思います。
情報系 兒玉 隆一郎
退職のご挨拶
茨城高専で四年間お世話になりました。
四年前には、次世代を担う学生の皆さんに、自分が出来る最大限の支援をしたいと願って着任しました。しかし、振返ると足りなかった部分が目立ちます。むしろ、逆に皆さんから元気をもらうことが多かったと思います。
卒業研究において配属となった学生の方々と研究内容について討論できたことは、私にとって貴重な経験となりました。卒業研究で取り扱う課題解決の方向が見えてくると皆顔が明るくなります。それを見ている私も嬉しくなります。一つ例を挙げれば、果樹の花の写真を画像処理して花の位置を自動検出する研究がありました。この技術的な工夫も面白かったのですが、研究の前半で、自動受粉が必要となる社会背景(世界的なミツバチの減少)を丹念に調査した点が印象的でした。このテーマに限らず、技術が求められる背景と課題を広く考察した上で技術を磨く姿は卒業研究において多く拝見し、大変好感をもちました。学生の皆さんが茨城高専で学ぶ知見をたくさん蓄え、社会に出て課題の解決に役立つ知見を引き出しから探し当てることを大いに期待します。
茨城高専に着任して初めて知ったことに、海外留学生の受け入れがあります。母国から離れて日本語の生活をすることだけでもハードルが高いのに、留学生の皆さんが立派に勉学に励んでいるのを見て驚きました。留学を支援している先生方のご努力が報われていることも多いでしょう。本校で勉学を極めた方々が後に母国や国際的舞台で活躍されることを願ってやみません。
私の在任中はコロナ禍の影響でオンライン講義など普段と異なる環境が求められました。慣れない環境ではありますが、苦境のときほど是非助け合って克服していただきたいと思っています。
最後になりましたが、お世話になりました先生方に御礼を申し上げますとともに、茨城高専生の皆さんが今後益々ご活躍されること、茨城高専の益々のご発展を祈念いたします。
化学・生物・環境系 鈴木 康司
転任の挨拶
このたび高専機構本部からの命により、四国愛媛県新居浜高専への転任となりました。民間企業で研究を14年、茨城高専で教育を主に24年間務めて、新天地では校長として学校経営に携わることになります。
私は1年生科目国際創造工学基礎を5年間担当したので、今のほとんどの本科学生は私のバイオの話を聞いて頂いたことになりますね。他に学生とのつながりと言うと部活動やクラス担任がありましたがそこでの思い出話をしてみます。
茨城高専着任後サッカー部の顧問を11年間やりました。2002年にはサッカーワールドカップがカシマスタジアムでも行われました。チケット抽選応募を多数トライしてみましたが、すべて外れ。そこに高体連サッカー部会から連絡が入り「優れた指導者になるためは世界最高水準のゲームを見て勉強しなさい」と観戦チケット購入権利を頂き、ドイツvsアイスランド戦を観戦できました。この時は、嗚呼サッカー部顧問をやっていて良かったとつくづく感じました。
その後将棋部顧問を14年間やりました。平成30年には本校主催で全国高専将棋大会が実施されて、見事団体戦初優勝を勝ち取れました。全国制覇チーム監督になれたこと、うれしかったですね。他高専の顧問の先生からは「主催校はおもてなしをする立場だから優勝するのはもっての外」と冗談も言われましたが。
クラス担任としては、平成30年に4C女子学生が個人資格で第19回ショパン国際ピアノコンクールin ASIAのアマチュア最上級部門に出場しました。全国大会にも進出して奨励賞を獲得、日本代表の一員としてアジア大会の出場も果たしました。本校視聴覚室で凱旋演奏を聞かせてもらって大きな感慨を頂いたこと、今でもはっきりと覚えています。
次の高専でもこのような学生との関わりを持ち続けられたらと願っております。最後になってしまいましたが、本校学生のみならず、先生方、職員の方々にも大変にお世話になりました。ありがとうございました。皆さんお元気で!
化学・生物・環境系 横山 英樹
皆さんの活躍を期待しています
この度任期満了により退職することになりました。皆様には大変お世話になりました。
私はこれまで海外の研究所で、様々な国の大学院生の研究指導をしてきました。彼らは多様な考え方を持っており、それを活かしつつ研究成果を出させ、論文発表、学位取得に導くことを目標としてきました。彼らと比較して、茨城高専の学生は若いというのもありますが、皆とても素直で、まるで遠い昔の自分を見ているように感じます。また、こんなクラスメートいたよなと学生時代を思い出して懐かしい気持ちになりました。授業については、そんなにやらなくてもと言われながらも、かなり時間をかけて準備して望みました。時折学生からもらうフィードバックが励みになり、さらにいい授業にしたいと思い必死で準備しました。余裕がないからか、私が根からの真面目人間のためか、笑いが少なく、ちょっと面白みに欠けたかなという部分では反省しています。
海外での研究経験を活かして科学英語も教えました。留学生と一部の日本人学生を除き、あまり英語ができないかなと感じました。英語を使えば日本語よりはるかに多くの情報を得ることができ、また物事についていろいろな見解があることがわかります。つまり世界が広がるのです。インターネットの普及でいくらでもタダで英語に触れる機会がある時代なので、有効に使って英語力を向上させて欲しいなと思います。日本人なので完璧な英語を話す必要はありません。せっかく留学生が多くいる環境ですので、怖気ることなく積極的にコミュニーケーションを図ってみてください。
ほかに「生物資源工学」という、生物を資源として捉え、その有効利用を考える授業を担当しました。これは農学系の新しい科目で、私には専門外のため、関連する本をたくさん読み、農業に関する博物館への訪問や、工場見学などを通して、教材を新たに開発しました。毎週異なるテーマについてまとめなければならないのは大変でしたが、学生には新型コロナウイルスのワクチンなど、身近で使われている最新技術が理解できるよう教育しました。振り返ると、生物を実社会に役立てることについて私自身も多くのことを学び、楽しく授業ができたと感じます。
学生の皆さんの高専での成長、社会での活躍を期待しています。