本科5年生の論文が「JP Journal of Geometry and Topology 」に採択されました

タイ王国からの留学生である、本科生のカモンパット・インタウォンさん(情報系5年)の論文が、数学の国際学会誌「JP Journal of Geometry and Topology 」に採択されました。採択を記念して、研究における苦労や今後の目標などについて、インタビューを行いましたのでご紹介いたします。

論文採択、おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください。

純粋に嬉しいです。初めての数学の研究で、ゼロから勉強して頑張って論⽂を書いたので、採択されて嬉しいです。ここまで指導してくださった伊藤先⽣には大変感謝しています。

論文の内容について教えてください。

今回の研究は結び⽬理論という分野で、紐の結び⽬を数学的に表現して3次元空間における配置について研究するトポロジーの⼀分野です。結び⽬とは3次元空間内の円周で、⽇常的な結び⽬と違い、閉曲線で紐の両端を閉じたもの、つまり輪っかになったもので、この研究では複数の紐からなる図形である絡み⽬に注目しました。2021年に伊藤先⽣が第⼆ミルナー不変量の場合に限ってミルナー不変量の構成要素を分解し、符号を変えて⾜し合わせることにより、ミルナー不変量と兄弟のような整数値関数が出てくることを突き⽌めました。そこで、私はこの伊藤先⽣の⽅法が広く⼀般化できるのではないかと考え、伊藤先⽣の新不変量の発⾒法で全てのパターンについて調べ、規則性を⾒つけて⼀般化し、不変量を⽣成する関数を作りました。結果的に、コンピュータを使わずとも⼿計算でも⼀般化できる不変量を発⾒することができました。この研究は、化学・⽣物における環状⾼分⼦、量⼦情報における暗号の誤り訂正、医学における物質の移動軌跡など様々な分野への応用が期待されます。

研究を進める上で苦労した点はありますか?

勉強⾯では、慣れない分野の考え⽅や定義が難しかったです。研究⾯では、計算量に苦労しました。基本的な場合だけでも96次元の基底を扱う⼤規模な計算になるので、筋の良い定式化などの⼯夫が必要でした。論⽂⾯では、理論的にわかりやすく証明することが難しかったです。

今後の目標を教えてください。

現在別のテーマで取り組んでいる論文が採択されることを目標としています。また卒業研究として、機械学習などプログラミング的な要素を取り⼊れた結び⽬理論の研究ができたらと思っています。

タイ王国へのメッセージをお願いします。

茨城⾼専で勉強する機会をいただきありがとうございます。好きな勉強ができ、いろいろな⼈と出会えて幸せです。今後は国のために何かできたらなと強く思っています。そのために、勉強はもちろん、課外活動などを通して、思考⼒やコミュニケーション能⼒などのスキルを⾝につけていきたいと思います。

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